酒蔵での酒造り、酒屋での販売・在庫管理にタブレットが活躍!

酒蔵での酒造りは、人手による伝統的な造り方をイメージする人が多いのではないでしょうか。しかし、酒造りの合理化や労働力不足の問題に対応するため、現在では、酒造りの工程においてICTを活用したスマート化の取り組みが進んでいます。

そのほか、酒屋においてもスマート化が進み、タブレットを活用した販売・在庫管理が可能となりました。

この記事では、酒蔵や酒屋など、酒の製造や流通におけるタブレットの活用事例について紹介します。

タブレットで酒造りをスマート化

酒はさまざまな工程を経て造られます。酒造りの工程をまとめると下記のようになります。

・精米する
・米を洗って水に浸ける
・米を蒸した後、ほど良い温度に冷ます
・麹を造る
・酒母を造る
・もろみを仕込む
・原酒と酒粕に分ける
・ろ過した後「火入れ」をして加熱処理をする
・貯蔵する(数ヶ月から1年程度)
・「調合」や「割水」をして酒を仕上げる
・びんにつめる

酒造りには多くの手間がかかっていることが理解できたのではないでしょうか。これらの工程をすべて手作業でおこなうと大変な手間がかかります。

おいしい酒造りの決め手となるのは、麹造り、酒母造り、もろみ造りでの温度管理です。温度管理をスマート化できれば、従業員の業務の負担を軽減できます。

スマート化で酒造りの温度管理が容易に

酒造りでの温度管理は、タブレットでおこなうことが可能です。

酒造りでは1℃の違いで味わいが大きく異なります。また、工程によって材料の適温がその都度変わる場合もあるため、細やかな対応が求められます。おいしい酒造りを追求するためには、これらの温度管理を厳密におこなうことが重要となります。

温度管理をスマート化して、事務室内に設置されたタブレットで酒造りの工程における温度をいつでも見られるようにしておくと、温度管理の作業を容易におこなえます。

さらに、なんらかの事情で温度が大きく変化した場合にアラームが鳴るように設定しておくと、即座に対応できるため酒造りの質を保つことができます。

酒造りでは、仕込みの方法によって微妙に味わいが変わります。求める味わいを実現するためには、材料の温度管理に関するデータが必要となります。そのデータに基づいて酒造りのスマート化を実現することこそ、現代に適した酒造りといえるでしょう。

酒屋の販売管理にタブレットを活用

酒屋では、酒蔵で製造された日本酒をはじめとして、さまざまな酒類が販売されています。

小売業における基本的な管理としては、仕入れや販売、在庫の管理があげられます。酒屋でもこれらの管理をおこなう必要がありますが、これらはタブレットで対応が可能です。

仕入れや売上、在庫の管理はタブレットで

仕入れと売上、在庫の数値はそれぞれ関連性があります。具体的に説明すると、仕入れの数値と売上の数量がわかれば在庫の数もわかります。仕入れ、売上、在庫の管理はタブレットでできます。

始めに、商品の仕入れ数をタブレットに入力します。これにより仕入れた商品の在庫数が反映されます。

売上データは、POSレジで売上を登録すると、POSデータに売上数量が反映される仕組みです。POSデータを利用すれば、売上データを手作業で集計する必要がありません。

在庫データは仕入れデータから売上データを差し引いて自動的に集計されます。在庫データも売上データと同様に手作業で集計をおこなわずに済みます。

売上と在庫のデータはタブレットで参照できます。そのため、これらのデータは事務所内や売場、倉庫など、場所を問わずに調べることが可能です。

酒屋では酒販業界独自の制度への対応が必要

酒屋の経営では、仕入れや売上、在庫の管理などのほかに、酒販業界ならではの独自の制度に対応しなければなりません。

独自の制度について具体的な内容をあげると下記のとおりとなります。

・「酒類の販売数量等の報告書」の作成
・空き容器管理

また、小売の業種によっては「リベート管理」の対応も必要となりますが、リベート管理は酒販業界で広くおこなわれているため、それに対応することも求められます。ここでは、それぞれの内容について説明します。

「酒類の販売数量等の報告書」の作成

酒を販売する場合は「酒類の販売数量等の報告書」の作成が義務づけられています。

この報告書を作成する目的は、酒税の課税に関する資料となること、そして酒類の行政に関する基礎的な資料となるためです。

この報告書には、ビール、発泡酒、清酒、焼酎、ウイスキーなど、酒の種類別に1年間で何リットル販売したか、期末である3月末時点の酒の在庫数量を酒の種類別に記入する必要があります。

タブレット型のPOSレジシステムを導入し、POSデータを集計すれば、酒の種類別に販売量を自動的に集計できます。

空き容器管理

酒類の業界ではびんなどの空き容器の数量を管理することが求められます。

ビールびんや一升びんは缶とは異なり、そのままの形で繰り返し利用することが可能です。繰り返し利用する容器は「リターナブル容器」と呼ばれ、リサイクルすることが推奨されています。

空き容器管理は、びんなど空き容器のリサイクル状況の把握を目的におこなわれます。空き容器管理では、日々の空き容器の在庫を管理します。

リベート管理

酒屋におけるリベートとは、メーカーが酒屋に対して酒の販売量を増やしてもらうため、販売量に応じて支払うお金のことです。

リベートは、メーカーから卸売業者を経由して受け取るケースのほか、店舗がメーカーから直接受け取ることもあります。

酒屋がリベートを受け取った場合は、帳簿に記載することが必要です。

酒販業界独自の制度は、タブレットで処理が可能

酒類の販売数量等の報告書や空き容器管理、リベート管理はタブレットでおこなうことが可能です。

中でも、販売数量に関する報告書の作成や空き容器管理は酒販業界独自の制度ではありますが、タブレットを活用すれば問題なく対応できるため、これらの業務をスムーズにおこなえます。

まとめ

酒蔵でおいしい酒を造るには、麹や酒母、もろみなどの温度管理をきめ細かにおこなう必要があります。

また、酒屋では仕入れや売上、在庫管理のほか、酒販業界独自の制度に対応することが求められます。これらの業務はタブレットで対応が可能です。

タブレットなら持ち運びができるため、場所を問わずに利用できます。たとえば、酒造りにおける材料の温度管理は事務所内でもチェックできますが、実際に酒蔵内を周りながらタブレットで温度の状態を確認しつつ、仕込んでいる酒の発酵状況を目で見て確認することも可能です。

持ち運びができるというタブレットのメリットを活かしながら、酒の製造や販売に活用してみましょう。

酒蔵での温度管理、酒屋での在庫管理をはじめとして、さまざまなシーンでタブレットを活用したい場合は、こちらも参考にしてみてください。