今後の企業用のタブレットはどうなる?需要と以前の市場との比較

タブレットは持ち運びに便利で操作性にも優れていることから、オフィス業務だけでなく営業、飲食などのサービス業、工場、医療現場、建設現場など、利用できる業界や業種を着実に広げています。

とはいえ、実際のところビジネスにおけるタブレットの需要はどのくらいあるのでしょうか。ここでは、データを参考に国内と世界のタブレット市場動向を明らかにしながら、今後の見通しなどについても一緒に考えていきましょう。

2022年上半期のタブレット市場

GfK Japanが発表した「2022年上半期 家電・IT市場動向」によると、国内のパソコン・タブレット市場は前年より26%減少し1,060万台です。内訳はパソコンが前年比28%減少の670万台、タブレットは24%減少の390万台となりました。

タブレットの法人向け市場は、前年より28%減少し270万台、個人向け市場は前年より11%の減少で120万台となっています。

2020年、2021年はコロナ禍による「巣ごもり需要」やGIGAスクール構想など文教向けの需要があったことから市場が拡大しましたが、2022年はそれらが落ち着きを見せたことから販売は縮小の傾向にあります。ただ、パソコンとの比較では、2019年、2020年よりもタブレット市場は拡大しました。

iPadが初のタブレットOSとして市場に登場したのは2010年、次の年にはAndroidがリリースされ、この時期は「タブレット端末元年」と呼ばれています。その後は個人向けだけでなく法人向けにも需要が拡大し、業種別ランキングでは製造や金融、サービス産業などが上位で導入が早くから進められていました。

しかしIT専門の調査会社 IDC Japan株式会社が2016年に発表した「国内産業分野別タブレット市場予測」では、法人向けのタブレット出荷台数について、2015年~2020年の年間平均成長率はマイナス4.8%で推移していくと予測しています。

タブレットと相性のいい業界ではすでに十分にタブレットが普及したことにより需要が落ち着いているため、全体的には減少傾向にあることが要因としています。

世界のタブレット市場

今度は、世界のタブレット市場に目を向けていきましょう。アメリカの市場調査企業・IDCが2016年に発表したグローバル市場におけるタブレットの出荷台数予測によると、2022年のパソコンの出荷台数予測は4億6,210万台で、前年同期比で10.8%減少すると予測しました。

2023年のパソコン出荷台数予測は12.8%減少し3億530万台、タブレットは2022年より6.8%減少し1億5,680万台になると推測されています。やはり、ビジネスで需要が満たされていること、経済の悪化などによる需要の縮小が懸念されています。

今後の予測

では、タブレットの需要は今後も減少の一途をたどるのでしょうか。前述のIDCの調査によると、2024年にはパソコンとタブレットの需要が再び回復し、2026年には2022年の需要を上回ると予想しています。

その原因として、Windows10のサポートが2025年10月で終了すること、ハードウェアの更新サイクルが重なることなどをあげています。コロナ禍でのように急激に需要が伸びることはないにしても、消費者はよりプレミアムを求める傾向にあるため、この時期に経済回復などの鋳込みがあれば市場は上向きになるのではと報告しています。

また、IDC Japanが2018年9月に発表した「2018年第2四半期 国内タブレット端末市場実績値」によると、国内タブレット市場出荷台数は前年同期比23.0%減少の176万台で、内訳は家庭向けが前年同期比28.5%減少の138万台、法人向けが前年同期比6.0%増加し38万台になりました。

ビジネスの増加について同調査では、早くから導入が進んでいた金融などで買い換えが発生したことや、学校向けなどの需要が増加したことによるものとしています。

まとめ

タブレットは、スマートフォンとパソコンの間という位置づけにとらえられる傾向にあるものの、ゲームやテレビの代わり、メモやノート代わり、ビジネスでは医療機器や産業機器としての活用など、ユーザー自らが新しい利用方法を探りながら需要を広げてきた端末です。

多くの企業でタブレットの導入が済んでいると考えがちですが、実際にはタブレットを導入していない企業もあるのが現状です。長期的な視点でみれば、今後はタブレットを利用する産業や業種の拡大、タブレットを活用した新しいビジネスモデルなどが誕生する可能性も考えられるでしょう。

タブレットは現在、Androidでさまざまなメーカーが新しいモデルを開発しており、多機能ながら手頃な価格で購入できるためビジネスでは費用対効果も高いとされています。事業の改善や課題解決、業績アップなどの目的に合わせて、タブレットを活用した戦略を検討してみてはいかがでしょうか。

業種別のタブレットの活用方法についてさらに知りたい方は、こちらを参考にしてみてください。