在宅医療・訪問看護のあり方とタブレットの活用
- 2023.08.31
- 業種別活用法
在宅医療・訪問看護は、高齢化が加速する現代で注目されているサービスです。ただし、在宅医療を行うには医療現場のリソース不足が課題であり、電子機器を使用した業務効率化が求められているのが現状です。
今回の記事では在宅医療が抱えている課題と、タブレットを活用した解決策の例を紹介しています。
在宅医療・訪問看護とは
在宅医療とは、病院ではなく自宅で医療を受けることで、訪問看護は看護師が自宅に訪問し、患者の健康状態の観察やケアを行うことです。
いずれも患者は自宅で診療を受けられるため、最期の日を家族で迎えたいという思いや、患者が自宅で安心して過ごせるようにしたいという思いを叶えられる診療方法として注目されてきました。
医師や看護師は定期的に訪問し患者の状態を評価し、関係者と連携して必要な処置や薬の管理、痛みのコントロールなどを行います。
病院診療との違い
在宅医療と病院診療は、何を最優先とするかが異なるでしょう。在宅医療では患者の生活の質を重視します。自宅で医療を受けることで、患者は快適な環境で過ごし、家族との絆を大切にできるでしょう。
在宅医療チームは、患者の心身のサポートや症状の緩和、家族のケアにも重点を置きます。
一方、病院診療では病気の治療が優先されるでしょう。病院では専門的な医療設備や医療スタッフが揃っており、病状の評価や治療が行われます。病院は急性期の医療を提供する場であり、緊急の処置や手術、入院などの治療が行われることが一般的です。
訪問診療と往診との違い
訪問診療は、定期的かつ計画的に行われることが一般的です。患者の自宅や施設を訪れ、継続的な医療ケアや健康状態の評価を行います。
一方で往診は、急変時や突発的な状況で行われます。例えば、病状の急変や緊急の医療ニーズに応えるために、医師が患者の自宅や施設に訪れる場合があるでしょう。
往診の対応に関しては、医療機関や地域の方針によって異なるため注意が必要です。一部の医療機関では、往診サービスを提供しているかどうかや、往診の範囲や対象となる疾患に制限がある場合があるでしょう。
そのため、往診を必要とする場合は、医療機関との事前の相談や指示を受ける必要があります。
在宅医療の課題
在宅医療が直面している課題として、まず「365日24時間の対応」があります。在宅医療は患者の自宅で提供されるため、緊急時や夜間・休日においても医療サービスが必要ですが、24時間対応の体制を整えることは困難です。
次に、「専門外の医療行為や疾患への対応」が課題です。在宅医療では、多様な疾患やケアニーズに対応する必要がありますが、医師や看護師などの専門職のリソースが限られているため、専門外の領域への対応が難しいことがあるでしょう。
また、「緊急時の医療連携」も重要な課題です。在宅での緊急事態や急変時には、速やかな医療連携が求められますが、異なる医療機関や専門家との連携や情報共有がスムーズに行われない場合があります。
これらの課題には、在宅医療の拡充や専門職の増加、医療連携の強化などが必要ですが、リソース不足が全体的な問題となっています。在宅医療においては医療業務の効率化が求められている現状があるでしょう。
在宅医療でのタブレットの活用
在宅医療でタブレットを活用することで、電子カルテを訪問先で入力できることがメリットとして挙げられます。また、電子化するためペーパーレス化によるさまざまなコストダウンもメリットとなるでしょう。
ペーパーレス化による業務効率改善
タブレットを導入することで在宅医療におけるペーパーレス化が可能です。紙の使用を減らすことで、印刷紙や文具の購入コストを削減できるでしょう。
さらに、紙の管理や記入、保管などの手作業が不要になるため、人的コストも削減されます。タブレットを使用することで、患者のデータや医療記録を電子的に管理でき、情報の共有や検索も容易になります。
そのため、効率的なデータ管理が可能となり、在宅医療の品質向上や医療スタッフの負担軽減が可能となるでしょう。
訪問先でのカルテの確認
タブレットを活用することで、在宅医療の訪問先で記録入力の手間を削減できます。事前に定型文を登録しておけば、重複する情報や標準的なコメントを簡単に挿入できるでしょう。
また、過去の訪問記録をコピーして活用することもできますので、再度同じ情報を入力する手間が省けます。さらに、入力されたデータはクラウド上で共有されるため、他の医療スタッフや関係者との情報共有も可能です。
そのため、記録入力にかかる時間と手間を削減し、訪問先での効率的な医療提供が可能となります。
まとめ
今回の記事では在宅医療・訪問看護のあり方とタブレットの活用方法を解説しました。最期を家で過ごしたい思いを尊重して、在宅医療が注目されていますが、医療提供側のリソース不足が課題として挙げられています。
タブレットを活用することでペーパーレス化や、訪問記録入力の簡素化など、リソースを効率よく使えるため課題の解決策の1つとして考えられるでしょう。
在宅医療や訪問看護はこれからさらに需要が増していくサービスです。医療業界でタブレット導入を考えている方は、今回の記事を参考にしてみてください。