公務員でもタブレットを活用!どう使う?

さまざまな業界でDX推進の言葉を耳にするようになりましたが、行政でも「自治体DX進計画」が進められています。コロナ禍以前からワークライフバランスのため「行政のICT」改革が実施されてきましたが、タブレットやスマホの活用は消極的な傾向にありました。

しかし最近では、DX化に取り組む自治体や官公庁、タブレットを活用する地方公務員などが現れ、非効率的と言われてきた「お役所仕事」にも変化が見られるようになりました。そこで今回は、公務員のICT化の現状とともにデジタル化の取り組み事例を紹介します。

公務員のタブレット導入の課題

実際のところ、公務員のタブレット導入には乗り越えるべき課題が多いのが現状です。議会での審議や意見調整、また税金の使い方に対して地域住民への理解を求める必要があります。端末の導入だけではなく、ITインフラの整備・運用などコストがかかるため、費用対効果を住民に還元できるものであることが重視されるからです。

さらに、周囲が持つイメージを脱却しなければならないところもあるでしょう。公務員がタブレットやスマホを使うと上司から仕事以外のことをしていると誤解される、住民からクレームを受けるなど、仕事で活用しにくい環境が考えられます。個人情報や公的文書を多く抱える公務員は、職場のPC以外の端末を使用する場合のセキュリティ対策も必須です。

一方で、コロナ禍によるデジタル社会への移行、GIGAスクール構想などタブレットの活用が増加し、業務改善や働き方に対する見方も変化しています。そこで、公務でタブレットがどのように使われているか事例をいくつか紹介しましょう。

神奈川県逗子市議会でのペーパーレス化

逗子市では、平成25年より市長および市幹部職員が議会にiPadの導入を開始しました。今でこそ国会答弁でもタブレットが導入されるようになりましたが、当時は導入までのプロセスの速さでも注目された事例です。

同市では、セルラーモデルのiPadデモ機でクラウド型コンテンツ配信システムを活用する実証実験を開始し、半年後に議員19名と市長および市幹部職員に配布、1年後の定例会で始動となっています。

逗子市の場合は、自治体側ではなく議員が積極的に導入を推進し、ほかの議員や行政を巻き込んで使い方の指導や意識改革を行ったことがタブレット導入を早めた要因とされています。またコスト削減効果、業務効率化、行政資料の可視化に貢献できることを説明し、情報発信にも力を入れました。

コスト削減では、ペーパーレス化によって議員1人当たり1,000~2,000枚ほど必要だった紙資料がなくなり、年間約150万円の紙・印刷コストを削減できると算出しています。

業務効率では資料のメールボックス投函をやめ、PDF化することで配布にかかる手間をなくし、資料探しや整理、差し替えなどの作業もなくなりました。市民との会合では、タブレットで画像データによる説明が可能になったほか、いつでも情報を検索できるようになり市民から不意の質問にも慌てることなく対応できるようになりました。議員・市役所・市民に役立つ仕組みが構築されています。

東京都渋谷区の窓口業務にペンタブレット

渋谷区役所では、液晶ペンタブレットを住民戸籍課の窓口に設置しました。各種届出を電子化して手続きを行い、電子サインのみで完了する仕組みをつくっています。それにより窓口業務の待ち時間が減少し、住民側の利便性も向上しました。

渋谷区では、2019年より来庁者ゼロを目指して文書のデジタル化を進めています。窓口業務だけでなく、職員全員にタブレットを配布してフリーデスクによるワークスタイルを実現し、職員による入力作業の軽減、他部署との情報共有、書類保管スペースの削減につながっています。

また区役所ではBIツールを導入し、KPI設定などにも力を入れることでさまざまな業務の改善と効率化、住民へのサービス向上にむけた取り組みも行っています。

天理市立西中学校の生徒会選挙投票

奈良県天理市立西中学校では、タッチディスプレイの特徴を生かした電子投票が行われました。紙の投票用紙の代わりにタブレットに候補者の氏名を手書きすると、文字認識によって候補者名が画面に表示され、タッチすれば完了というものです。

手書きの後で候補者名を選択する仕組みになっているので、無効票がなくなりました。校舎の各階に4台ずつのタブレットを設置し、470名の生徒全員の投票は2時間程度で終了しました。手軽さと使いやすさで生徒から高い評価を得ています。

まとめ

総務省が進めている「自治体DX推進計画」は、デジタル社会のビジョンについて「1人1人がニーズに合ったサービスを享受し、多様な幸福を実現できる社会づくり」としており、住民の利便性を向上させるために身近な行政を担う自治体、特に市区町村の役割が大きな存在になると報告しています。

今後は公務員にもタブレット導入が増加すると考えられますが、同時にデジタルデータの取り扱い、情報セキュリティポリシーの遵守などについて研修を行っていくことも重要です。

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