帳票の管理も重要、電子帳票システムの選び方は?

企業のお金の流れや取引履歴の記録として、従来「帳票」が使われてきました。近年では、帳票を紙で保管するのではなく、スキャンしてPDFとして保管する企業も増えてきています。

今回の記事では、そもそも帳票とはどのようなものを指すのか、電子帳票システムを使用する場合の機能の解説をします。また、電子帳票システムをタブレットで使用する場合の注意点も紹介しているため、参考にしてみてください。

帳票とは

経営に必要な書類を表す言葉が「帳票」です。会社を経営していく上でのお金や取引の記録帳を指します。

似た用語で「証憑(しょうひょう)」がありますが、証憑は取引の証拠書類を指す用語です。具体的にはレシートや領収書が該当し、帳票とは意味合いが異なるため注意しましょう。

帳票の種類

帳票は大きく分けて2つ「帳簿」と「伝票」があります。企業や部門単位でのお金の流れや取引の記録が「帳簿」です。帳簿には次のものがあります。

・仕訳帳
・総勘定元帳
・現金出納帳
・固定資産台帳
・経費帳

仕訳帳は、普段の取引を日付ごとに「借方」と「貸方」に仕訳します。青色申告特別控除を受けるには主要簿として必須項目となるため注意しましょう。仕訳帳の内容を「売上高」、「接待交際費」などの勘定科目別にまとめたものが総勘定元帳です。

現金の流れ、固定資産の情報、経費の動きもそれぞれ帳簿としてまとめることが推奨されています。

伝票には次の種類があります。

・入金・出金伝票
・見積書
・請求書
・納品書
・領収書
・支払明細書
・発注書
・検収書
・注文請書

何かしらの取引の際に発生する書類を指します。取引の都度、伝票の作成が必要であり、取引相手と伝票の合意をとることで後々のトラブルを防げるでしょう。

管理方法と保存期間

帳票は一般的には7年間の保存が義務づけられています。ただし、青色申告で損失を計上する場合など一部のケースでは10年の保存が必要となるため注意しなければいけません。

保存方法の基本的な手段は紙書類です。従来は帳票を印刷し紙で保管しなければならず、また、PDFファイルなどの電子データも印刷して保存することが必要でした。

ただし1998年に制定された電子帳簿保存法によって、特定の条件下では書類の電子データでの保存が認められます。しかし税務署の事前承認など、条件の厳しさの面で課題がありました。

2022年には、電子データでの保存がより容易になるように条件が緩和されました。これからは電子データによる帳票の保存が一層進んでいくでしょう。電子帳票にシフトしていく中で、タブレットなどのデバイスを活用することが必要となります。

タブレット対応電子帳票システム

電子帳票システムを活用するには、タブレット対応型が便利です。タブレットは持ち運びが便利なため外出先でも帳票を更新できるほか、視認性が良いためデータ一覧が見やすいメリットがあります。

電子帳票システムの機能面と注意点を解説します。

電子帳票システムの機能

電子帳票システムでは紙の帳票をスキャンしたり、メールで受け取ったりすることを通じてPDFファイルとして保存・管理します。これにより、膨大なデータの中から特定の帳票を素早く検索可能です。従来のように紙の書類を手作業で探す必要がありません。

さらに電子帳票システムは、アクセス制限やデータの保護などのセキュリティ機能を搭載しています。ユーザーごとのアクセス権限を設定し、機密性や情報の漏えいを防げるでしょう。

また、他のシステムとの連携機能を持っています。例えば、CSVファイルなどを介して外部システムからデータを取り込み、自動的に帳票への反映が可能です。そのため手作業の手間を軽減し、データの正確性を向上させられるでしょう。

電子帳票システムの注意点

帳票には企業の重要なデータが含まれているため、データの漏えいや不正アクセスからの保護が重要です。適切なアクセス制御やデータの暗号化などの対策を実施し、情報の機密性を確保します。

まず、電子帳票システムはオンライン上で利用されるため、ネットワークセキュリティの確保が必要です。ファイアウォールや侵入検知システムなどを使用して、外部からの不正アクセスや攻撃を防がなければいけません。

また、電子帳票システム自体にもセキュリティ対策はされていますが、使用するパソコンやタブレット自体もセキュリティ対策が必要です。

定期的なアンチウイルスソフトウェアの更新やセキュリティパッチの適用、パスワードの管理などを行い、不正なアクセスやマルウェアの感染を防止します。

まとめ

今回の記事では帳票の基本と、電子帳票システムの機能、注意点を解説しました。

帳票は企業のお金や取引の流れを記録しておくものであり、従来は膨大な量の紙で7年間の保管が必要でした。2022年の電子帳簿保存法の緩和によって、多くの企業が帳票の電子保管に切り替えはじめています。

電子帳票システムの機能は、帳票の一元管理や検索機能、セキュリティ対策、他システムとの連携などがあります。いずれの機能も携帯型端末との相性が良いため、タブレット活用が推奨されます。

ただし、帳票は重要データのため、外部からの不正アクセスなどに対策を講じる必要があり、タブレット自体のセキュリティも気を付けなければいけません。

在庫管理などをタブレットで行うことで、電子帳票システムとの連携も効率化できるでしょう。

在庫管理のタブレット活用についてさらに詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。