船のものづくりも変わってきている?造船業でのタブレット活用

造船業では、さまざまなICT技術が取り入れられてきていますが、実際の現場では3Dデータの活用などがいまだ普及していないなど、課題は多くあるのが現状です。

今回の記事では造船業が現在抱えている課題の解説と、解決策として使えるタブレットの利用方法を紹介しています。これからタブレット導入を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

造船業が抱える課題

造船業は他国の技術力向上や、デジタル化のシフトを受けてさまざまな課題を抱えているのが現状です。造船業が現在抱えている課題を3つ解説します。

中国・韓国との競争激化

現在、日本の造船業は中国・韓国との競争激化が課題として挙げられるでしょう。中国と韓国は経営統合を進め、新造船建造量を増やしています。

また、世界的に脱炭素の動きが進んでいることを受けて、造船業でも環境に配慮した取り組みが求められてきました。炭素排出量の削減や再生可能エネルギーの利用が求められるなか、中国と韓国は環境技術の開発に力を入れています。

競争力を上げるにはデジタル化の波も押し寄せており、業務効率の改善が急務となってきているでしょう。AIや自動化技術の導入により、設計・生産プロセスの最適化や品質管理の向上が可能です。これらの課題に取り組むことで、造船業は競争力を維持し、持続可能な発展を遂げられます。

3D化の加速

従来、造船業ではCIM(Computer Integrated Manufacturing)などのICT技術の導入が進められてきましたが、生産現場においては3Dデータの普及が遅れていました。

日本の造船業は、個別受注生産が主流であり、従来の2D図面だけでも高い技術力で船を建造できてしまっていたことが理由です。

しかしながら、近年では熟練した職人の数が減少し2D図面だけでは船の建造が難しくなってきています。この背景から、3D化が加速しています。

3Dデータを用いることで、船体や装置の設計・製造・組み立て工程を仮想的に確認可能です。そのため製造時の問題や調整が事前に把握でき、効率的な生産が可能となります。

さらに3D化によって情報共有が容易になり、関係者間のコミュニケーションや誤解の解消が期待できます。設計者、製造者、船主など関係者がリアルタイムで共通のデータを参照して、調整や改善がスムーズに行えるでしょう。

DX実現に向けたIoTへの対応

現在の造船業における課題の1つは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためにIoT(Internet of Things)への対応が不可欠なことです。IoTの導入が進めばさまざまな点で効率化が進み、競争力強化につなげられるでしょう。

例えば、オフィスと作業場の細かいデータをクラウドで共有しAIによる効率的な管理を目指すことで、情報の即時性と正確性を向上させられます。モニターカメラやドローンを使用して作業現場から様々なデータを収集し、リアルタイムでの作業状況の把握や品質管理が可能となるでしょう。

また、造船工場内のさまざまな端末をインターネットに接続することにより、データの共有と連携が容易になります。例えば、センサーデバイスを用いて設備の稼働状況やエネルギー使用量をモニタリングし、効率化やトラブル予防に役立てられます。

さらに、VR技術を活用することで、コンピュータ上で詳細なシミュレーションを実施可能です。船の設計や製造工程を仮想空間上で可視化や修正を行うことで、時間とコストを節約しながら品質を向上させられるでしょう。

タブレット活用の利点

造船業が抱える課題の解決策として、タブレットの活用が重要です。まず、DXの実現が造船業界に求められており、タブレットはその一環として効果的なツールになり得ます。

各現場では、3Dデータのモニタリングや更新が必要です。タブレットを使用することで、現場でのリアルタイムな確認やデータの更新が可能となります。3Dデータをタブレット上で表示し設計者や作業者が瞬時に必要な情報にアクセスできるため、生産プロセスの効率化や品質向上に寄与します。

また、温室効果ガスの削減や船体パフォーマンスの最適化などをシミュレーションする際にもタブレットが利用可能です。タブレットは持ち運びが容易であり視認性が高いため、船体設計や燃費改善などの重要な指標を視覚的に確認できます。

また、タブレット上でシミュレーション結果を即座に確認し、必要な調整を迅速に行えるでしょう。

さらに、タブレットはコミュニケーションツールとしても有用です。異なる部門や関係者間での情報共有を促進し、効率的な意思決定を支援します。

まとめ

今回の記事では、造船業が抱える課題とタブレットの活用方法を解説しました。造船業は中国・韓国との競争激化や、世界的な環境問題への配慮を受けて、DX化による資源最適化や業務効率化が求められています。

3Dデータの活用や造船業全体としてのIoTへの取り組みが解決策として挙げられますが、これらの手段にはタブレットは欠かせません。持ち運びが容易で視認性の高いタブレットは、各種データの確認や更新に適しています。

これからの造船業は、今まで以上にDX化が進み、タブレットを活用した業務も増えていくでしょう。

造船業など、製造業のタブレット活用についてさらに詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。